2013年05月09日

うちなーんちゅの命水、泡盛勉強会!!利き酒、試飲しよう~!!【授業レポート③】

真栄里泰球 瑞泉レポート

うちなーんちゅの命水とは、もちろん泡盛。土曜日の昼下がり、首里城のお膝元で泡盛を造り続ける瑞泉酒造で勉強してきた。

うちなーんちゅの命水、泡盛勉強会!!利き酒、試飲しよう~!!【授業レポート③】

仕込んだもろみから、ぷくぷくしゅわしゅわとガスが出る音が聞けたのが楽しかったが、麹を口にできたことは、意外な体験だった。タイ米を砕いて蒸したものに、黒麹菌をはやしたもので、苦いような、酸っぱいような味がする。この酸味がポイントで、クエン酸が生成された証拠だ。クエン酸のおかげで、雑菌の繁殖が抑えられ、暑い地域でも酒がつくれるという。清酒に使う黄麹はクエン酸を生成しないので、清酒は冬に仕込まれるとのことだった。泡盛に使われる黒麹菌は大きな桑の木についていたらしい。なるほど、酒は風土が産むのだ。それが、外来のタイ米と相性がいいというのも、なかなか興味深い。

沖縄戦で主立った蔵元がやられてしまった泡盛。戦後の復興期は品質も低く、アメリカ経由で入ってくるウイスキーが酒の主流だった時代もあった。
作家の阿川弘之が「琉球の泡盛を飲みなさいって君にすすめられた。だけどいい泡盛、どこで手に入るのか分からない。那覇でうまいの飲んだことがありますがね」と話を振ると、開高健が「泡盛もほんとにいいのはない。寝かしとけばよくなる酒なんだが、どんどん若い時代にだすもんだから、だめなんですね」と応えた対談が1980年版の『世界の名酒事典』に掲載されている。酒通の間では古酒になればおいしいとの評価があったこと、本土向けの販路がほとんど確立されていないことがうかがえる。品質向上とマーケティングの相乗効果で80年代には洋酒から泡盛へ流れが変わり、90年代以降は県外への販売が増えていった。
案内役の池原呂桜良さんは沖縄県と沖縄国税事務所が復帰の年から開催している、泡盛鑑評会品質評価委員の経験もある。鑑評会では「欠点のない酒」がまず評価されるとのことだ。蒸留の際の焦げ臭など技術的な問題がないかをチェックするという。税制が酒文化に与えてきた功罪はいろいろあるけれど、技術的な水準が厳しく評価されるという点では、泡盛の発展に貢献しているのだと思う。それにしても、鑑評会前の体調を整える努力(子どもにもマスクをさせる、コーヒーは飲まない等)はストイックだ。

うちなーんちゅの命水、泡盛勉強会!!利き酒、試飲しよう~!!【授業レポート③】

その、池原さんに導かれての利き酒もいい経験だった。池原さんは銘柄当てを披露してくれた。参加者は、麦焼酎と甕仕込み泡盛など飲み比べのほか、各銘柄の試飲に挑む。肴やおしゃべりが入り交じる普段の酒座の雰囲気も楽しいが、泡盛だけに向き合うのもなかなかなものだ。やっぱり、古酒はいい。最大手メーカーなど9社の表示問題の影響で、「古酒」の表示基準の規約はこの4月から、3年以上貯蔵酒「50%超」から「100%」に厳格化されている。これからは、安心して飲めるようになるだろう。

うちなーんちゅの命水、泡盛勉強会!!利き酒、試飲しよう~!!【授業レポート③】

授業終了後の懇親会も、おいしいお酒が飲めた。「土曜の夜の酒の味が、平生と違うことを知らないものには、日曜の朝の楽しさは解るまい」(水上滝太郎)という言葉があるらしい。日付が変わるころに中座したが、確かに楽しい日曜日の朝が迎えられた。

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2013年4月27日 瑞泉酒造
池原さんと琉球ニライ大学のスタッフに感謝したい。

琉球ニライ大学
http://www.niraidai.net/class_detail/id0078.html

瑞泉
http://www.zuisen.co.jp/


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Posted by 琉球ニライ大学 at 10:00│Comments(0)授業レポート
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